アルジャーノンに花束を 第7話レビュー 

人は何かを手に入れると同時に持っていた何かを失うという
まるで神様との取引のようだ
しかし過去の私に失って惜しいものなどあったのだろうか・・・。

「アルジャーノンに花束を」 第7話

スマートなスピーチで学会の会場を魅了する咲人が、「哀しいほど真実を知らなかった過去の私」と映像の中の自分を指す。
失ってはならない大切なものはあったのですよ。咲人、あなた自身の中に。

控室に現れた妹を冷たく突き放す咲人と、以前の咲人なら喜んだはずだと責める遥香。
「私も咲人ですよ。」過去の自分を否定し、頑なに心を閉ざした咲人の背中を見送る遥香が切ない。

母の元をまた訪れた咲人が竹部社長と母との仲を勘ぐる・・・
15から父親代わりのように面倒をみてきた社長にまで辛辣な言葉を吐き捨る咲人に、平手打ちで「出て行け」と言わなければならなかった社長の心情、悔しさは如何ばかりだろう。
傷害のある彼を受け入れ咲人に救われると言った、最後の砦は崩壊してしまったのです。

失い続ける咲人。彼の心の喪失は止まらない。
「何故泣いているんです?」
遥香の涙さえ、今の咲人には届かない。
気付かないふりをしていた彼への気持ちが押さえられなくなった遥香を次第に追い詰めていったのは、知性と引き換えに大切なものを神に差し出してしまった咲人への研究者としての自責の念からでしょうか。

しかし研究センターを去った遥香の退職の理由を知った咲人が揺れ始める。
遥香に代わって「身の周りの世話役」として用意された小沼と蜂須賀との会食の席で、その心の揺れは確信となって咲人を再び覚醒させたのでした。
蜂須賀からALGを破棄した遥香の解雇と、彼女とのキスの理由を聞かされ、「私の息子」と呼ぶ目の前の男に失望し席を立つ咲人。
大切なものは神と取引して失ったのではなく、神の顔をした悪魔に奪われていたのかもしれない。

翌朝「私の父はただひとりです。」と言葉を残し、どこか憑き物が落ちたようにスッキリとした表情で、そして淀みのない瞳で研究室をあとにする。
蜂須賀に洗脳されているのだと気付かせてくれたのは遥香でした。
寝る間も惜しみ打ちこんできた仕事を捨ててまでも、失い続ける咲人を、その真心を取り戻させたい遥香の想いが咲人にようやく届いたよう。

それにすでにALGを作れるほどの知能を持つ咲人にはもう研究センターも蜂須賀も必要ないのです。

センターの長い廊下を遥香を想いながら歩く。
失っていたものが、心の奥深くに仕舞いこみ鍵を掛けていた想いがドアを開いて溢れ出す。
頑な心が融けて気持ちの高まりと同時に走り出す演出が見事なシーンでした。
研究センターそのものがどこか欠落した咲人自身であり、その出口が見失った真心へ通じる扉のように。
咲人の次第に変わっていく表情が素敵でしたね。

遥香の部屋の前で、離してはならない大切なもののシンボルである黄色い風船を持って、大切な人を待つ・・。
大切なものを失っていく咲人を見てALGの効果に疑問を持ち始めていたという遥香。
「繊細なやさしさ」それが大切だと気付かされて今咲人は遥香の部屋にいる。
そしてここで暮らしていいかと・・・。

「僕が苛立っていたのは遥香、君が僕への気持ちをごまかそうとしていたからだ。」
「ほんとうは恋してるくせに、ほんとうは愛してるくせに」

恋の仕方さえ知らなかった咲人が、愛してると言わせて唇を塞ぐなんてこんな上級なテクニックを・・・
いささかの驚きと、それ以上の胸の高鳴りを覚えたことは言うまでもありません。

世界でいちばん好きな女の子とようやく熱いキスを交わし、その血潮に触れた咲人の明日には幸せが待っているのでしょうか・・。
それとも一度でも、神と、あるいは悪魔と取引をしたものは罰を受けるのでしょうか。

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アルジャーノンと、梨央のこれかも気がかりです。

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