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アルジャーノンに花束を 第6話レビュー 

理性の力で心に蓋をすればいい。
そうすれば時間とともにこの痛みも消えていくだろう・・・。

「アルジャーノンに花束を」 第6話

初めての朝は手を重ねて眠っただけの咲人と梨央でした。
「嘘は嫌いなんです。」6話を象徴する言葉が、梨央の体に触れない理由なのだろうか。
愛する人はほかにいる・・・。

5話のレビューで変わりゆく咲人を「1秒ごとにに変化する。今現在の咲人は瞬間に過去になる」と記しましたが、6話では変革を遂げる前の自分を、あるいは過去を捨てる咲人が哀しく愁いていました。

朝の光に包まれたベッドで目を覚ました咲人は昨日までの咲人とはちがう。
愚かだった自分を捨て、遥香への想いを封印し生まれ変わったのだと・・・
衣服を纏わない生まれたままの咲人を見てそう感じました。


遥香のイヤリングを引き出しに仕舞う。
叶わなかった恋と傷ついたこころと共に。
蓋をして鍵をかけて・・・そして孤独になる。

心を閉ざしていく中で唯一の光である母。
お利口になって愛されたかった母に今こそ会うときが来たのだと、母の元へと花束を抱えて向かう咲人・・・。
母の家の前で感情の消えた無機質な咲人の表情はかつての優しい笑みを取り戻しますが、見違えるようになった自分を喜んでくれるという咲人の想いは一瞬で砕け散りました。
その抱えた花束のように。

「ママ」おさな子のようにそう呼ぶ声が哀しく響きました。

砕け散った心
誰も咲人から花束を受け取るものがいない。
無残で可哀想な花束たち。
いつか、誰か彼の心の花束を受けとってくれるのだろうか。

母に拒絶されたことで一層、頑なに心を閉ざしていく咲人に母親は病んでいるのだと告げる遥香。
そして蜂須賀先生とのキスを誤解なのだと言う遥香に「嘘は嫌いなんです。」と部屋のドアを閉め、遥香も同時に自分の中から遮断していまう。

咲人は梨央にはもう会わないと、時間の無駄だと告げ、ひとつずつ過去と決別していく。
絵本の中の恋愛ごっこ。それがたとえおとぎ話でも梨央にとってはかけがえのない時間だったことを咲人はまだ知らない。

勉強に打ち込み、身体を鍛え、目を見張るくらいの知能を備えた精悍な男へと変貌していく咲人を複雑な想いで見つめる遥香と、咲人を掌中に収めたい先生とのズレは段々大きくなっていくよう。
元々は先生に認められたくて咲人を被験者に推薦した遥香ですが、ママのように加護していた咲人が遠くなっていく過程で芽生え始めている感情がまだ何であるか気付いてない。あるいは気付かないふりをしているのか。

「友達がいるんです。」
それが仕事を辞めたくない理由。
けれども最後に残された手術前の自分と繋がる友達とも決別することになる。
寮で揉め事を起こし、さらには梨央とのことを檜山に攻められた咲人は檜山だけじゃなく、間に入った柳川にまで辛辣で冷たい言葉を吐いて。
自分より下の人間だから優しくできる・・「それは友達でも仲間でもない。自分のエゴを満たすための偽善です。」

感情を理性で抑えているというより、感情そのものを自分の中から排除してしまったかのような咲人の傷つかないための防衛反応のようにも見えます。

遥香に受け入れられなかったことから始まった蓋をして内へ内へと閉じこもり身を守る術は、母、梨央、友人にまで至り、咲人は本当に孤独になってしまった。
過去を一つずつdeleteしていくように。

「アルジャーノン僕は知りたくなかったよ。友達だと思ってた。」
バカにされ見下されていた自分。
覚醒したことで見えなかったものが見え、それが咲人の苦悩と孤独の始まりとはなんて皮肉なのか。
ただお利口になりたいと願った青年の喜びと哀しみ。

知性と引き換えに失われていく咲人。損ない続ける咲人。
この彼の苦しみと喪失はどこまで続くのだろう。

「はい。嘘は嫌いです。」
学会の前に自分の周りから人がいなくなっていくのが怖いと言う咲人に悪魔が囁く。
「人は対等ではない。」と
「君には私がいる。」「僕には先生がいる。」
狂気の世界へと咲人を誘う蜂須賀先生の不気味さは増すばかり・・・。

そして光の中に立ち微笑む咲人が哀しいほどに冷たく美しいのでした。

「そっちに行ったらだめ。」研究のためなら愛のないキスをも厭わない蜂須賀の狂気から咲人を守りたい・・そんな遥香の想いはもう咲人には届かない。
「時間です。」優しく冷たく遥香の手を振りほどき悪魔のいるステージへと見送る遥香の目には涙が。
一方、もう咲人は泣かない。心には蓋をしてあるし涙が溢れだすことはないのだ。
誰かがその蓋を、心の鍵を開くまで・・・。ずっと引き出しの中。

「アルジャーノン僕の友達は君だけだ。」

変貌を遂げ、喝采の中でステージに立つ咲人でした。

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物語が進むにつれ切なさも増していきますが、6話まで1話たりとも失望させられた回はなく、1シーンたりとも裏切られたことがない・・。
本当に素晴らしい作品に出会えました。
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