アルジャーノンに花束を 第5話レビュー
傍にいるとただ嬉しい人がいます。
パパは世界は愛が溢れているといいました。
僕のこの気持ちは愛と呼ぶものでしょうか・・・。
「アルジャーノンに花束を」 第5話
4話の終りに変化の兆しが見えてから、咲人の知能は急激に向上しているよう。
そして5話という1時間の中でも冒頭のすずらんの注文を受ける咲人と、最後のシーンでは別人のように変化していきます。
一人の人間を演じているのに、1秒ごとにに変化する。今現在の咲人は瞬間に過去になる・・・。そんな第5話でした。
知識が増えていくことの喜び・・綺麗な箱を手に入れても、何も詰めなければただの空き箱ですが、咲人には詰めたいものがたくさんある。
研究ーセンターの一室で熱心に勉強する咲人の活き活きとした表情が、博士の入室で曇るのは博士への不信感からですが、それを知っている博士は車を運転したいという咲人に車を贈る。
咲人の知能だけではなく心までも操ろうというのでしょうか。それとも単に失くした子息と重ね合わせているのか・・
優しさと狂気が表裏一体のようで不気味さを醸し出していました。
免許を取って遥香とドライブの約束をした咲人の遥香への恋は、淡い想いから知能の向上と共に変化していきます。
性の目覚め・・・
画集を見ながら(グスタフ・クリムト 『接吻』)「接吻・・キス」と呟く咲人に「咲ちゃん」が遠く過去の存在になってしまったような寂しさを覚えてしまう。
遥香のイヤリングに触れながら・・・もうそれは母の面影の象徴ではなく遥香自身なのでしょう。
どこか思いつめたようにも感じられるほど真剣な眼差しで「僕はあなたにキスがしたい」と打ち明けますが、遥香から自分は母のような存在なのだと拒まれ部屋を出て行き、次にとった行動に驚かされます。
「思ったとおり。遥香は追いかけてきてくれると思ってました」
咲人が人を試す…無邪気な笑顔を見せながら。
知能が発達するということは、純粋なだけではいられなくなるということの象徴のようなシーンでした。
咲人のパパは亡くなっていたのですね。
咲人には三人の父親が・・・
「笑っていれば誰かが助けてくれる」と自分がいなくなったあとの彼を想い、生きる術を教えてくれたパパ。
咲人の笑顔に救われるという、彼の父から託された父親代わりのような社長。
そして生まれ変わった咲人のもう一人の父親になるという博士。
社長と博士の対比を毎回見事に演出しています。
「パパ、僕どうしたらいいかなぁ。」パパの前では「咲ちゃん」に戻ってしまうよう。
知能の急激な発達に戸惑う未成熟な心、アンバランスな発達段階の咲人を演じる智の表現力に魅せられた回でもありました。
美しさってそれだけで人の心を打つものがあります。
透明感や、美しさ故の危うさや、「悲しみ」ではなく「哀しみ」を表現できるのも咲人が智だからだと思っています。
陰と陽を合わせ持つ智だから、天使のような咲ちゃんの笑顔も、恋に震える咲人も人の心を打つのです。
遥香をドライブに誘いに来た咲人が博士と遥香のキスを目にしてしまうシーンもそう。
立ちつくし、俯く表情に湛えた哀しみが、切なくもひたすら美しいのでした。
研究のためなら愛のないキスをも厭わないこの博士の狂気はどこまでいくのだろう・・。
深く傷つき遥香自身であるイヤリングを捨てようとしたときに現れたのは梨央。
彼女を夜のドライブに連れ出す咲人の顔からは全ての表情が消え、凍りつくような眼だけが真っ直ぐに前を見据えていました。
「帰りたいなら言ってください。」静かなトーンで話す咲人は、冒頭のすずらんを受注する咲人とはもう別人のよう。
「そうやってみんな嘘をつくんですね。」
嘘をつくという概念がまだ咲人にはない。
梨央から教えられた「人は嘘をつく」ということが、これから大きな意味を持ってきそうな気がします。
「どうして僕じゃだめなんだ遥香」
綺麗な瞳から流れ落ちる涙と、咲人の悲痛な叫びが流れる「ローズ」と共に迫りくるよう。
遥香の代わりになるという梨央もまた切ない。
いずれ記憶をなくす自分なら傷ついてもいいというのか。
哀しい二人のキスでした。
急激な知能と心の変化を巧みな脚本、演出と、智の繊細な演技で見事に表現した見応えのある第5話でした。
初めての朝と閉ざされていく心・・・6話も苦しくなりそうです。
←押してくれるとウレシイ
美しさってそれだけで人の心を打つものがあります。ほんとに。
パパは世界は愛が溢れているといいました。
僕のこの気持ちは愛と呼ぶものでしょうか・・・。
「アルジャーノンに花束を」 第5話
4話の終りに変化の兆しが見えてから、咲人の知能は急激に向上しているよう。
そして5話という1時間の中でも冒頭のすずらんの注文を受ける咲人と、最後のシーンでは別人のように変化していきます。
一人の人間を演じているのに、1秒ごとにに変化する。今現在の咲人は瞬間に過去になる・・・。そんな第5話でした。
知識が増えていくことの喜び・・綺麗な箱を手に入れても、何も詰めなければただの空き箱ですが、咲人には詰めたいものがたくさんある。
研究ーセンターの一室で熱心に勉強する咲人の活き活きとした表情が、博士の入室で曇るのは博士への不信感からですが、それを知っている博士は車を運転したいという咲人に車を贈る。
咲人の知能だけではなく心までも操ろうというのでしょうか。それとも単に失くした子息と重ね合わせているのか・・
優しさと狂気が表裏一体のようで不気味さを醸し出していました。
免許を取って遥香とドライブの約束をした咲人の遥香への恋は、淡い想いから知能の向上と共に変化していきます。
性の目覚め・・・
画集を見ながら(グスタフ・クリムト 『接吻』)「接吻・・キス」と呟く咲人に「咲ちゃん」が遠く過去の存在になってしまったような寂しさを覚えてしまう。
遥香のイヤリングに触れながら・・・もうそれは母の面影の象徴ではなく遥香自身なのでしょう。
どこか思いつめたようにも感じられるほど真剣な眼差しで「僕はあなたにキスがしたい」と打ち明けますが、遥香から自分は母のような存在なのだと拒まれ部屋を出て行き、次にとった行動に驚かされます。
「思ったとおり。遥香は追いかけてきてくれると思ってました」
咲人が人を試す…無邪気な笑顔を見せながら。
知能が発達するということは、純粋なだけではいられなくなるということの象徴のようなシーンでした。
咲人のパパは亡くなっていたのですね。
咲人には三人の父親が・・・
「笑っていれば誰かが助けてくれる」と自分がいなくなったあとの彼を想い、生きる術を教えてくれたパパ。
咲人の笑顔に救われるという、彼の父から託された父親代わりのような社長。
そして生まれ変わった咲人のもう一人の父親になるという博士。
社長と博士の対比を毎回見事に演出しています。
「パパ、僕どうしたらいいかなぁ。」パパの前では「咲ちゃん」に戻ってしまうよう。
知能の急激な発達に戸惑う未成熟な心、アンバランスな発達段階の咲人を演じる智の表現力に魅せられた回でもありました。
美しさってそれだけで人の心を打つものがあります。
透明感や、美しさ故の危うさや、「悲しみ」ではなく「哀しみ」を表現できるのも咲人が智だからだと思っています。
陰と陽を合わせ持つ智だから、天使のような咲ちゃんの笑顔も、恋に震える咲人も人の心を打つのです。
遥香をドライブに誘いに来た咲人が博士と遥香のキスを目にしてしまうシーンもそう。
立ちつくし、俯く表情に湛えた哀しみが、切なくもひたすら美しいのでした。
研究のためなら愛のないキスをも厭わないこの博士の狂気はどこまでいくのだろう・・。
深く傷つき遥香自身であるイヤリングを捨てようとしたときに現れたのは梨央。
彼女を夜のドライブに連れ出す咲人の顔からは全ての表情が消え、凍りつくような眼だけが真っ直ぐに前を見据えていました。
「帰りたいなら言ってください。」静かなトーンで話す咲人は、冒頭のすずらんを受注する咲人とはもう別人のよう。
「そうやってみんな嘘をつくんですね。」
嘘をつくという概念がまだ咲人にはない。
梨央から教えられた「人は嘘をつく」ということが、これから大きな意味を持ってきそうな気がします。
「どうして僕じゃだめなんだ遥香」
綺麗な瞳から流れ落ちる涙と、咲人の悲痛な叫びが流れる「ローズ」と共に迫りくるよう。
遥香の代わりになるという梨央もまた切ない。
いずれ記憶をなくす自分なら傷ついてもいいというのか。
哀しい二人のキスでした。
急激な知能と心の変化を巧みな脚本、演出と、智の繊細な演技で見事に表現した見応えのある第5話でした。
初めての朝と閉ざされていく心・・・6話も苦しくなりそうです。


美しさってそれだけで人の心を打つものがあります。ほんとに。